本書は大学の学部生向けに書かれた西洋美術史学入門書『まなざしのレッスン』の続編である。1巻は私の知りうる限り最優秀の美術史学入門書である。「西洋美術は一種のパズルである」ことを示し,なぜ絵画を見るためには知識が必要なのかを説き,絵画に関する基礎知識について概説している。そこに趣味としての美術鑑賞の,学問としての美術史学の入り口が用意されているのである。入門書であるので平易な語り口であり,また読む上で必要な知識を極力減らしてあり,大学入りたての文系大学生や,西洋美術というものに疑問を持つ社会人がいかにもいだきそうな疑問にちょうどよく答える名著であった。その意味では必ずしも美術史学を専攻する予定の学生の入門書というより,入門する気のない人たちにとっての方が好都合な本だったとさえ言えるかもしれない。知識を覚えるための本ではなくて,「なぜ知識を覚える必要があるのか」という説明の方に徹底しているから
今回は,英語史 (history of the English language) という分野が,19世紀以来,言語学やその周辺の学問領域の発展とともにどのように発展してきたか,そして今どのように発展し続けており,今後どのような方向へ向かって行くのかという,メタな問題について考えたい.参照したいのは,Momma and Matto により編まれた大部の英語史手引書の導入部である. 19世紀と20世紀初頭には言語学の関心は専ら音韻や形態の歴史的発達を厳密に探ることだった.比較言語学と呼ばれる専門的な領域が数々の優れた成果をあげ,近代言語学を強力に推し進めた時代である.英語史のような個別言語の歴史も必然的にその勢いに乗り,そこで記述されるべきは,英語の音韻や形態などが経てきた変化の跡であることが当然視されていた.現在いうところの英語の「内面史」 (internal history) である.M
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