2010年6月4日、パリ第4=ソルボンヌ大学教授ジャクリーヌ・リシュテンシュテイン氏による講演が行われた。今回はソルボンヌと日本の諸高等教育機関との協力関係樹立という公務を帯びて来日された由で、多忙なスケジュールの合間を縫っての(しかし充実した)レクチャーとなった。 【ジャクリーヌ・リシュテンシュタイン教授】 リシュテンシュテイン教授はとりわけ古典主義期(17世紀)フランスの芸術理論の緻密かつ大胆な読解で知られるが、今回の講演では視野を拡げ、美学の歴史を辿りなおされた。中心となる地域はドイツとフランスである。 今日美学は哲学の一部門として確固たる地位を占めている。しかしそこに至る道のりは決して平坦なものではなかった。周知のとおり、近代的ディシプリン(学問領域)としての美学 esthétique, Ästhetik は、ライプニッツ=ヴォルフ派の哲学者バウムガルテンの著書 Aesthetic