さて、その26号機であるが、いつもとちょっと違うのは、第2段の塗装が白色になっていることだ。通常、この部分の色はオレンジ色。今回、塗装が白くなっているのは、「基幹ロケット高度化」プロジェクトで開発された技術が適用されたからである。 このオレンジ色の正体は断熱材だ。H-IIAロケットの推進剤は第1段も第2段も液体水素と液体酸素の組み合わせであるが、これらの物質の沸点は極めて低く(水素はマイナス253℃、酸素はマイナス183℃)、蒸発を抑えるためには、極低温を維持する必要がある。断熱材は、そのためのものだ。 しかし、液体水素は特に沸点が低くて蒸発しやすい。燃料タンクを断熱材で覆っていても蒸発してしまい、打ち上げの直前まで、蒸発した分を補充しているほどだ。 第2段の場合、軌道上でも蒸発する分があるのだが、通常、搭載衛星を分離するまでの時間は30分間ほどと短いため、あまり大きな問題にならない。とこ