次に来るのは何か? 2016年11月9日午前8時30分、ミハル・コシンスキは、チューリッヒのスンネフス・ホテルの一室で目を覚ました。コシンスキは34歳の研究者で、ビッグデータの危険性及びデジタル革命についてスイス連邦工科大学で講演するために同地に来ていたものだ。 コシンスキは、このテーマで世界中で講演を行なっている。心理学の一分野でデータ駆使という特徴をもつ「計量心理学(psychometrics)」では、超一流の専門家だ。 その朝、テレビをつけた時、コシンスキは大事件が勃発したことを理解した。一流の統計学専門家によるすべての予想を覆し、ドナルド・J・トランプがアメリカ合州国の大統領に当選したのだった。 コシンスキは、トランプの勝利祝いと各州の投票結果のニュースをひたすら見続けた。この選挙結果にはひょっとしたら自分の研究の影響があるのではないかと虫が知らせたのだ。そして長い時間がたった後、