『「街的」ということ』(講談社現代新書)の副タイトルは、「お好み焼き屋は街の学校だ」である。その新書を書いて結構評判だったことから、「江弘毅は、お好み焼きとかたこ焼きとか、やたらB級グルメに詳しい」とか、「お好み焼きと焼肉の専門編集者やろ」(編集長を長くしていた『Meets』誌をいつも「ミート」と言うていた焼肉屋のおっちゃんがいた)だとか言われることがある。 別にお好みやたこ焼きに罪はないのだが、それらの大阪=コナもんという感じが定型的で、目蓋を閉じさせられることが多いのである。そんなことはないぞ、とここで断言しておこう。確かに前回も「お好み焼き」についての文章だった。だからということではないが、ここで「フランス料理」について考える。もちろん「食の都・大阪的フランス料理」についてだ。 大阪では今、フランス料理(イタリア料理)を含めて全盛なのが「カウンター・スタイル」の店だ(「オープンキッチ