「俺は働かないで政府から金もらいながら好きなことやってるんだ。ま、自分の場合、やりたいことって音楽なんだけどね。ボランティアしているって言うと失業保険事務所で係員と喋るときの印象もアップしてすんなり金が貰えるし、将来音楽で生計が立てられなかった場合に、ここでボランティアしている経験が役に立って金を貰える仕事にありつけるかもしれないじゃん。一石二鳥。って感じかな。俺がボランティアしている理由はごくプラクティカル。失業者に思想はいらねえ」 鼠男系パンクがはきはきと吐くその発言に、ニックの顔がぎりりと歪む。 「自分、自分、自分、って。貴様らはいつもそうだ。他人のことはどうでもいいのか! 世界に何が起きているかなんて貴様らは考えてもみないんだろう」 ニックが言うと鼠男系パンクは答えた。 「世の中って、MEの集団だろ。あんただって、自分はあくまでもMEで、社会の一部であるよりもかけがえのないこのME