安倍首相の戦後70年談話に「侵略」と「おわび」が入る方向らしい。このうち侵略は有識者懇談会の報告書にも入っており、満州事変以降の戦争が国際法上の侵略にあたることは常識だ。1928年の不戦条約で戦争が違法化されたあとに、それを批准した日本が他国の領土を侵犯したことはルール違反である。 しかし「おわび」は別問題だ。これは道徳的に悪いことをしたという謝罪の言葉だが、正しい戦争か悪い戦争かという区別は現代の国際法にはない。もちろん戦争する国は、つねに自国が正しく敵国は悪いと宣伝する。中世ヨーロッパの内戦は悪を滅ぼす宗教戦争だったので、相手が全滅するまで終わらない。 これを避けるために、戦争に道徳的な判断を下さず、ルール違反かどうかだけを問題にするのがウェストファリア条約以降の近代戦の考え方だ。したがって1931年以降の日本軍がルール違反をおかした事実は間違いないが、それを今さら戦争の当事者でもない