『日経ものづくり』2008年10月号の作業が佳境を迎えています。私が今回担当したのは,エスカレータ逆走に関する記事。ご承知の通り,今年5月に名古屋市の市営地下鉄久屋大通駅で,8月には東京都江東区の東京ビッグサイトでエスカレータが逆走する事故が発生しました。その原因を探るべく,エスカレータの設計やメンテナンスに携わった複数の技術者に取材してまとめています。詳しくは,ぜひ9月末にお手元に届く本誌をご覧ください。さて,本ブログではその一部の先出しとして,今回の取材を通して感じた不思議を採り上げます。それが,タイトルにした「乗れるのに,乗ってはいけない」とする業界の論理です。 どういうことかというと,エスカレータの設計基準を示した建築基準法施行令第129条には,エスカレータの踏段(ステップ)の積載加重という基準が定められていますが,その数字から計算すると,踏段1枚当たりに乗れる人数が大人約1.5人