学習指導要領は1980年代後半から会話重視を唱えてきたが、なかなか効果が上がらない。コミュニケーション能力とは何なのか。立教大学で異文化コミュニケーション論を教える鳥飼玖美子特任教授に、今回の改定への評価も含め話を聞いた。 ――改定をどう見るか。 「英語のインプットが多くなるのはいいが、英語で授業すればめでたしかというと、そうではない。問題はコミュニケーションと文法が相反するものと捉えられていること。文章を組み立てたり、丁寧な言い方にしたり、コミュニケーションするなら文法力は必須だと肝に銘じてほしい」 「ある学生が『仮定法なんて会話で使わないのに、受験に出るから仕方なく勉強した』と。でも、英語で夢を語ろうと思ったら仮定法を使うし、会社に入って取引先と交渉する時も丁寧表現には仮定法を使う。会話のパターンを覚えるだけでは応用がきかない。英語のシャワーを浴びているだけでは話せるようにならない」