コンプライアンス(法令遵守)が大きく取り上げられる契機となった、食の「偽装」、建物や構造物の建設をめぐる「偽装」「捏造」等の事件から10年近くがたちました。今では誰もがその重要性を疑わないコンプライアンスというものがどういうものだったのか。どのようにそれが日本に作用したのかを追求した力作です。(上記以外にも村上ファンド事件、年金記録改ざん問題、裁判員制度等についても言及しています) コンプライアンスが常態化された今の日本に、これらの事件・事象は過去のものとなっているように思われるかもしれません。ですが、郷原さんが問いかけたことは少しも古びていません。それどころかますます重要性を増しているように思います。 郷原さんが問いかけたものは、「遵守」することによる怠惰=思考停止というものです。 一見正しいことのように思える「遵守」によってなぜこのような思考停止というものが起こるのでしょう。それは日本