高畑勲監督の死を悼む(上) アニメーション表現の開拓者 叶精二 映像研究家、亜細亜大学・大正大学・女子美術大学・東京造形大学・東京工学院講師 高畑勲監督の死を悼む(中)――常に対象との距離を保つ 高畑勲監督の死を悼む(下)――問い続けた「眠らない知性と理性」 2018年4月5日、高畑勲監督が死去した。来たる5月15日には、三鷹の森ジブリ美術館で「高畑勲 お別れの会」が催される。 高畑監督はアニメーションの表現の幅を押し広げ、日本のみならず世界のアニメーション制作者に多大な影響を与えた。海外のアニメーション制作者たち、特にヨーロッパの監督たちへの影響は多大であり、取材のたびに「彼こそ真に偉大なマスターだ」という声を何度聞いたか知れない。この1ヶ月間、国内外の訃報を悼む声は後を絶たない。 高畑監督がキャリアをスタートさせたのは1959年。当時「アニメーション」の代表は、ディズニーの長編や誇張さ