領主の保護を受けず、場所を変えて会合を開き、ドイツの統一を推進した点でむしろ君主に反抗する性格をもった。オーケンの発行した雑誌『イジス』は発禁処分にあったこともある。求めたのは国家に有用な知識ではなく、精神的な価値をもつ普遍的な知識であった(注2)。 BAASも、GDNÄに触発されたチャールズ・バベッジが、閉鎖的で権威主義的な団体になっていたロイヤル・ソサイエティを辛辣に批判したのが契機になって出来た(注3)。研究者コミュニティを代表する団体と一国の専門知を結集して科学的助言を提供する機関は一応、別系統なのである(注4)。 専門知と多数決は相性が悪い 研究者の利害を代表する機関の会員を、研究者が選挙で選出するのは妥当である。しかし、科学的助言など専門知を要する事柄に関しては、多数決で決めるのはたいていの場合、悪いやり方だ。専門知は少数しか専門家がいないから専門知なのであり、したがって多様な