私の一番古い記憶は幼稚園の年長さん。 5月の工作で作った鯉のぼりがとっても上手に出来て、不器用な私がこんなに上手に鯉のぼりが作れたんだよって、早くそれをお母さんに見せたくて、幼稚園のバスから駆け足で家の前に降りたった。 ところが家には鍵がかかってて、いるはずのお母さんはいなかった。永遠にも思えるような長い時間、玄関の前で待ってたけどお母さんは帰ってこなかった。 強まる雨足。雨雲が空を塗りつぶして辺りは夜みたいに暗くなった。 これ以上ここで一人で待ってはいられない。恐怖感が強まった私は、小学校にいる年子のお姉ちゃんを頼りに小学校への道を歩み始める。 テクテクテクテク。 お母さんが言ってた。 「何かあればお姉ちゃんのいる学校まで行きなさい。ゆみちゃんの足でも歩ける距離だからね」 ポクパクポクパク。 「えみちゃんいますかって言うんだよ」 靴に水が溜まって歩きにくい。 ズルズルズルズル。 「お家を