知的な障害がある人とか認知症の人、混乱・譫妄の症状が出てる人に接すると、どこかで怖いと感じてしまう。 決して差別したいとか個人として見下してるわけじゃないんだけど、ふと身構えてしまう。 同居していた祖父が病気の進行と共に夢と現実の区別がつかなくなっていった時、 他の家族が寝静まった深夜に、一対一で話を聞いたり言い聞かせたりしていると 決してここから離れてはいけないと思う反面、今すぐ逃げ出したいような気持ちにもなった。 黒い服を着た中国人の話、屠殺場の豚の話、ありもしない新居の話、上京する前に暮らした故郷の話。 ひとつひとつ頷いて聞いていたけど、私はあの時密かに鳥肌を立てていたし、手足はひどく冷えていた。 大切な家族のはずなのに、ぎらぎらと異様な光を宿した目を見ていると、不安で仕方なかった。 それは本人も同じで、正気に返った時に「なんでおかしくなるのだろう」だとか、 「さっきまで気ちがいにな