近代をおさらいするのにうってつけの一冊が、猪瀬さんが著された『ミカドの肖像』です。事実を不可視化するシステムの中で、視えないものをあえて視ようとする日本人のマインドが、圧倒的なボリューム感で描き出されています。猪瀬さんは、自身が「MIKADO」という名のロックバンドに行ったインタビューや、かつて、フランスの哲学者ロラン・バルトが皇居を「いかにもこの都市は中心をもっている。だが、その中心は空虚である」(『表徴の帝国』)と説いた表現を引き、 〈「あたかもこの空虚なシンボルの周りを回転しているかのよう」に動いている日本の現在のミカドについて立ち止まって考えていただきたい〉 と同著の冒頭で提起しています。 (落合陽一『忘れる読書』PHP新書、2022) こんばんは。寺山修司(1935-1983)に『書を捨てよ、町へ出よう』というタイトルの本があります。もちろんこれは「本なんて読まずに、町へ出ようぜ