刊行されたばかりの新書『なぜ日本文学は英米で人気があるのか』が話題の翻訳家・文芸評論家の鴻巣友季子さん。今年も、鴻巣さんによる年末ジャンボおすすめ書評の季節がやってまいりました! 2025年に刊行された文学作品の中から、鴻巣さんが選りすぐった20冊をご紹介します。「今年、全然本を読めてないから1冊くらい読みたい……」という人にも、「年末年始に読む本を探していた」という人にも、自信を持っておすすめします。 個人主義と包摂性1 シーグリッド・ヌーネス『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』桑原洋子/訳 早川書房 「あなたの苦しみはなんですか?」と声をかけることが、隣人に与えうる最も豊かな愛だとシモーヌ・ヴェイユは言った。本作には、このフレーズが全編に響きわたっている。末期がんの友人から安楽死の瞬間まで付き添ってほしい、ただし「隣の部屋で」と、語り手の女性は頼まれる。人は自立した「個」人でありながら、いか

