X線連星は、ブラックホールまたは中性子星(主星と呼ぶ)と、普通の星(主系列星:伴星と呼ぶ)がお互いの周りを回っている連星系である。このような天体では、伴星から角運動量を持つガスが主星に向かって流れ込み、降着円盤というガス円盤が形成される。そして、その降着円盤を通してガスが主星に落ち込むと考えられている。降着円盤の状態は、質量降着率という、単位時間あたりに主星にどのくらいのガスが落ち込むかという物理量によって決まると考えられている。天体の明るさ(光度)は、この質量降着率に比例している。 X線連星の中でも、不定期にアウトバースト(急激な増光現象)を起こす天体をX線新星という。その内の一つである「はくちょう座V404星」は、正確に距離がわかっているブラックホールの中では地球に最も近いブラックホールを主星に持つ天体であり、過去の観測から、アウトバースト中にX線で激しい光度変動を示すことが知られてい