自分の赤ちゃん時代の記憶 「自分のことは自分が一番よく知っている」――はたして、これは本当なのか? 我々は、自分自身の経験の記憶(エピソード記憶)について誰よりもよく知っていると思っている。少なくとも、見たり聞いたり匂ったり触ったり、主観的に感じ考えたことは、誰よりも自分自身がよく知っている(と思っている)はずだ。 高校生のとき自分の将来について寝ないで考えたこと。小学生のとき田んぼで泥まみれになって遊んだこと。保育園が嫌で脱走して家まで一人で歩いて帰ったこと。 半世紀近くたった今でも、ふとしたきっかけで「自分の歴史」は(脚色されてはいるかもしれないが)鮮明に思い出すことができる(と自分では思っている)。 ところが、自分の赤ちゃん時代の出来事に関しては、さっぱり思い出すことができない。 前世のことや胎内でのことを小さな子どもが憶えているという話を聞くが、空想好きな子どもの特徴かもしれないし