私たちが行動しようと思ったら,自分がどこにいるかを把握している必要がある。その情報を,脳はどのように得ているのだろう? 脳活動というのはつまるところ,脳神経細胞の集団的な発火だ。その信号から「空間内での自分の位置」という情報を得るのに,脳はどんな仕組みを備えているのか。 今年のノーベル生理学・医学賞は,そうした動物の空間把握のメカニズム研究の先駆けとなった英ロンドン大学ユニバーシティーカレッジのオキーフ(John M. O’Keefe)博士と,近年,この研究を一気に発展させて注目を集めたノルウェー科学技術大学のモーザー博士夫妻(May-Britt Moser,Edvard I. Moser)に授与されることが決まった。 オキーフ博士は1971年,ラットが部屋の中を歩き回っているとき,「右の隅」「左寄りの中央」など,ある特定の場所に来た時に発火する細胞を,海馬の中から発見した(右図)。ラット
インド・アーメダバード(Ahmedabad)の動物園で飼育されるアカゲザル(2012年5月18日撮影、資料写真)。(c)AFP/Sam PANTHAKY 【2月19日 AFP】サルの思考を、眠っている別のサルに電極で転送し、その腕を操作させる実験に成功したとの研究論文が18日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。 実験を行ったのは、まひの治療法開発に取り組む米科学者チーム。鎮静剤で完全に眠らせたアカゲザルの腕を、別のサルの脳の指令により動かし、ジョイスティックを操作して作業を実行させることに成功したという。チームは、脳と脳が制御しようとする筋肉との連絡が完全に断たれている状態の「完全まひ」を再現するためにこの実験を行った。 論文の共同執筆者、米コーネル大学(Cornell University)電気・計算機工学部のマリアム・シ
楽しい/悲しい音楽を聞くことで、無表情な顔の印象が変わる 聞いている曲が特に楽しい、あるいは悲しい曲調の場合、人はそれに気づくものです。実はこれは、曲を聞いた人がどういう気持ちになるか、という主観的な問題ではないのです。私たちの脳は、楽しい音楽と悲しい音楽に対して異なる反応を示すことが明らかになっています。 ごく短いものでも、楽しい音楽と悲しい音楽では、及ぼす影響が変わってきます。ある研究によると、短い音楽を聴いたあとに無表情な顔を見せられた被験者は、それまで聴いていた音楽のトーンにつられて、その表情を楽しい、あるいは悲しいと解釈する頻度が上がったそうです。そのほかの表情を見せても同様の傾向が見られましたが、無表情に近いほど、音楽の影響が顕著に出たとのことです。 音楽が私たちの感情に及ぼす影響に関しては、ほかにも非常に興味深い事例があります。その1つが、音楽に関係する気持ちには、「理解する
マウスの脳を刺激して、実際に体験したこととは違う「偽の記憶」を作り出すことに成功したとする研究報告を、アメリカ・マサチューセッツ工科大学の利根川進教授らのグループが発表し、注目を集めています。 この研究を行ったのは、昭和62年に日本人で初のノーベル医学・生理学賞を受賞した、マサチューセッツ工科大学の利根川進教授と理化学研究所のグループです。 研究グループはまず、記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる部分に光を当てると、直前に記憶したことを思い出す、特殊なマウスを作り出しました。 そして次のような実験を行いました。 まずマウスを安全な箱の中に入れ、その場所の様子を記憶させます。 そして、このマウスを別の場所に移したあと、脳に光を当てて、直前にいた安全な箱の様子を思い出させながら足に電流を流し、2つの記憶が結びつくようにしました。 すると、このマウスは、安全な箱の中に入れても、身構えておびえるよう
2013-08-29 完全な『人工脳』を作るために欠けているものはなにか? 科学 これがNature論文で作られたmini-brain A.血管です iPS細胞から"ヒトの脳組織を”作り出すことに成功*1、と言うニュースが大変話題になっていますが、専門家の岡野先生にも指摘されてる点が読み飛ばされて、あたかも『完全な』人工脳の作成に成功したと曲解されかねないと懸念したので簡単に補足文を書きました。 iPS細胞の研究に詳しい慶應義塾大学の岡野栄之教授は、「血管がないなど、脳を完全に再現したわけではないが、複雑なヒトの脳を解明していくうえで大きな一歩だ」と話しています。 血管は脳機能に大事栄養や酸素を運び、老廃物や二酸化炭素の排出場所になるのが血液。よく「脳の活動をfMRIで見る」って言うけど、あれは神経の活動を見ているのではなくて、血流の増加を見てると言うのは有名なお話。神経が活動するのに
2013-04-11 『電気泳動で脳を透明化する技術』が凄い!Natureに出た衝撃の論文に世界中の科学者が沸く 科学 2013年4月11日のNature誌に発表された画期的な論文を見て世界中の研究者が驚いています。 Structural and molecular interrogation of intact biological systems (Nature, 2013) 丸ごとの脳を透明化出来たと言うこの研究内容、いったいなにが凄いのでしょうか。簡単にご説明致します。 透明化した脳で見れる神経回路の美しさ! 「脳って白くてピンクで、透明化しても意味有るの?」と思われるかもしれません。近年の研究によって脳内の神経細胞に色を付ける技術が飛躍的に進みました。この論文では一部の神経細胞にGFPが発現した脳を透明化しています。まずは以下の動画をご覧下さい。脳内に存在する精緻な神経回路の
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く