テレビ業界を始め、世の中は介護がブームなんだそうだ。南田洋子の認知症を取り上げた番組が高視聴率をとり、ワイドショーは清水由貴子の自殺について特集を組む。 私にも女性週刊誌から取材の電話がきた。「要介護度5というのは大変なんですか?」「今の制度はどうなっているんですか?」なんてことを尋ねるので、「そんなことは樋口恵子さんに聞いたほうがいい」と言うのだが、ヒグチケイコという名前すら知らないようなのだ。 こんな時には私はいつも高口光子さんを紹介する。彼女なら適当にあしらいつつ、ユニークなコメントをしてくれるだろう。「NHKのクローズアップ現代に出た人です」と言うと、マスコミも安心して取材に行く。この時も取材を受けた高口さんは電話で散々しゃべり、「後日、原稿をまとめてチェックしてもらいます」と言われたそうだが、翌日「すみません。クサナギツヨシの事件でページがなくなりましたので」というオチがつい