7月8日の奈良における安倍晋三元首相の横死が余りにも衝撃的であり、安倍元首相の日本社会中枢における存在感、内外への影響力・発信力、海外における幅広い人脈や知名度に思いを致すなら、メディアが犯人の証言として伝える犯行への動機や経緯などを十分に考慮しても、「民主主義への挑戦」「言論の自由を暴力で封じる暴挙」などの常套句で糾弾すれば事足りるような性質の事件でないことでけは確かだ。であればこそ、事件は時が過ぎてもなお日本社会を揺さぶり続けるに違いない。 ここで目を国外に転ずるなら、ウクライナ戦争を機に混迷の度を加える世界だが、一方で〝ウクライナ後〟を見据えて次の段階を模索し始めたようにも思われる。 日本で異常な事件に政治が翻弄され、社会がザワつき、世論が沸騰している間に、国際社会は新たな秩序構築に向けてソロリと動き出す。いま日本を取り巻いて広がりつつある風景を、いつか、どこかで見た記憶があるような