<欧米人との会議や折衝の場で日本人の口数が少ないのは、語学力のせいではない。通訳が入っていても変わらないからだ。そこには、コミュニケーションタイプの違いが関わっている> たとえば、頼みごとをしていた取引先に電話したとしよう。 「あっ、今いいですか?」 「かまいませんよ」 「例の件ですけど......」 「あ、あれですね。オーケーです」 「では、よろしくお願いします」(ガチャ) こういった会話は、日本語話者であるわたしたちはちっとも不思議に思わないが、欧米人同士では成り立たない。本来は家族間でのみ行われるような会話である。 アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールによると、コミュニケーションの型は「高コンテクスト(ハイコンテクスト)文化」と「低コンテクスト(ローコンテクスト)文化」に分けられるという。 高コンテクスト文化におけるコミュニケーションでは、実際に言葉として表現された内容よりも