この6月25日,東京大学社会科学研究所教授の丸川知雄氏による「転機に立つ中国の民族系自動車メーカー」(主催:東京大学ものづくり経営研究センターアジア自動車産業研究会)という講演を聴いてきた。丸川氏は,『現代中国の産業~勃興する中国企業の強さと脆さ』(中公新書,2007年5月25日発行)という本を書かれた中国産業の研究者である(この本について書いた以前のコラム)。 同書によると,中国の産業界は,家電でも自動車でも,垂直統合の逆の現象である「垂直分裂」という状況の中でキャッチアップしてきた。自社内または自社グループ内で各部品を開発・調達するのではなく,各部品をバラバラに他社から調達するのである。 その「垂直分裂」を特徴とする中国の自動車メーカーが「転機」に直面しているとしたら,「垂直分裂」の中では自動車産業の競争力を上げることはそもそも難しいということなのだろうか---という疑問を持ちつつ,本