クリスマスも終わり、年末そして正月が見えてきました。この時期、救急医として注意喚起したいのが「餅」です。2011年1月4日のウォール・ストリート・ジャーナルでは、「Mochi: New Year’s Silent Killer」という見出しで紹介されました。国内外で注目を浴び、啓発もなされているものの、それでも毎年多くの犠牲者を出しています。 正月に猛威を振るう餅窒息年齢とともに嚥下機能が低下して誤嚥しやすくなることはよく知られております。実際に誤嚥性肺炎も50歳を皮切りに加齢と共に増加していきます。食品の窒息事故は高齢者で多く、65歳以上の死亡者数は年間3,500名以上、80歳以上が2,500名以上とされます[1]。そして餅については、65歳以上では2018年で363人、2019年で298人と、毎年数百名の命を奪っています。餅の窒息事故の43%が1月に発生し、正月の三ヶ日に集中することも