本来であれば、このような弱い立場の人々を守るための思い切った政策が求められるが、残念ながら、現在のところ労働者の置かれた現実に正面から向き合った有効な施策が打ち出されているとは言い難い。労働者自身が窮状を訴え、対策を求めていくことによってしか、この状況は変わらないだろう。 そんななか、実際に立ち上がり、声を上げはじめた人々がいる。ここでは、2つの事例を紹介し、労働者が自らの権利を行使し、生活を守る術について考えていこう。 サイゼリヤのパート従業員・Aさんは…… 「会社が国の助成金を利用してくれない」と語るのは、外食チェーン大手「サイゼリヤ」の千葉県内の店舗で働くパート従業員のAさん(30代女性)だ。Aさんは、1日5時間、週に4、5日の勤務をしていたが、長男の通う幼稚園が休園したため、3月中旬から仕事を休まざるを得なくなってしまった。 ©iStock.com Aさんは、保護者を支援するために