昨年、出版された本で「アーティスト症候群」(大野左紀子著/明治書院)という本があります。東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業後、アーティスト活動をしてきた著者が「アーティストとは何か?」を考え続け、最終的には創作活動を辞めてしまう、という結末の本で、話題になりました。サブタイトルは「アートと職人、クリエーターと芸能人」となっているのですが、私自身の読後の感想は、勇気が湧くというよりは、若干、気分がダウンするような本でした。彼女が最終的にアーティストを辞めてしまったということが、そういう気分になった原因です けれども、あとがきに「何も手を動かさないわけではなく、電話で人と話しながら、私の右手は傍らのメモ帳にさまざまな模様や人の形を描く」という部分を発見して、少しほっとしたことを覚えています。著者は、芸能人アーティストとして、片岡鶴太郎や八代亜紀、工藤静香、藤井フミヤなどを挙げて、辛口で批評してい