言葉の響きと文章の調 文章読本としては異例のロングセラーとなった「日本語の作文技術」。 著者である本多勝一氏はその本文のなかで、文章表現における巧みなリズム感の必要性を強く説かれています。 本多氏によると、人は本を読むとき目で活字を追いながら無意識にリズムを感じ取っているのだといいます。 だからリズムの無茶苦茶な文章は、読者を無意識的にイライラさせ、長時間の読書を耐え難くさせてしまう原因となってしまうのです。 また、谷崎潤一郎や川端康成といったいわゆる文豪と呼ばれる小説家たちが書き下ろした「文章読本」の類でも、このリズムとか調子に対する考察が大きな比重をかけて説かれているんですね。 とくに、川端康成のリズム調へのこだわりには並々ならぬものが感じられ、その思想に非常に興味深く引き付けられます。 少年時代、私は「源氏物語」や「枕草子」を読んだことがある。手当たり次第に、なんでも読んだのである。