「この国の医療はここから破綻します。これまでの感染症との戦い方を180度変えてください」 厚生労働省に乗り込んできた男性が、副大臣に新型コロナ感染に関するデータを見せたのは、3月上旬のことだった。 そのデータは神奈川県内に存在するすべての病院、350施設の一週間のデータである。 一見、「地獄のような状況」とも言える膨大なデータではあるが、見事なまでに整理されており、男性は新しい医療体制プランを語り始めると、副大臣はこう答えた。 「政府を動かします」 のちに「神奈川モデル」と呼ばれ、医療施設や患者たちを救うことになるこのデータとは何だったのか。新型コロナウイルス対策でテクノロジーを利用して迅速な指揮をとった台湾政府の対応が脚光を浴び、デジタル大臣のオードリー・タンも一躍有名になった。一方で、日本の神奈川でもテクノロジーと専門分野を活かして新たな感染症と闘った知られざる人物がいる。 まずは時計