「あぁ、『リクナビ』は本当に社会的な信用を失ったんだな」-。2019年秋、都内の私立大学に通う女子学生は目の前の光景にそんな思いを抱いた。大学主催の就活イベントに「マイナビ」の関係者しか登壇しなかったからだ。例年通りならもう一社の業界大手であるリクナビの関係者もいるはずだった。 学生の了承を十分に取らずに内定辞退率を予測したデータを企業に販売していた「内定辞退率販売問題」によって、リクナビは大学の信用を失った。それから体制の見直しを図り、信頼回復に努めるが、今なお不信感を拭い去ったとは言えない。採用手法の多様化を背景にした企業や学生の「ナビ離れ」もこの苦境に追い打ちをかける。 その中で、リクナビは「学生起点」のサービス設計に振り切る。近くその象徴となる一手を打つ。内定辞退率販売問題の発覚からまもなく1年。その一手の先に光明はあるか-。(取材・葭本隆太) 学生が企業を評価する 業界の理解は4