『カタストロフ・マニア』は未来の日本で、誰もが予測できるような自然災害から文明の破滅へと進んでいく様子とそこでサバイブする弱者とエリートたちの姿を描いた小説だ。来るべきディストピアを見据え警鐘を鳴らす作者の島田雅彦さんに詳しくその内容を伺った。 2036年の文明破滅 ―2036年の東京に致命的な厄災が次々と襲いかかり、文明が滅亡する設定の本格SFです。 名作『日本沈没』をはじめとする文明滅亡ものは、ティーンエイジャーの頃からの愛読書でしたし、本格的なSFは小説家になった以上は書きたいと考えてきたジャンルです。 SFと銘打つからには、それに恥じない作品を世に出したい。だから、従来の文明滅亡ものの範疇に留まるものなら、書く意味がないと思っていました。 破滅後の状況下で登場人物たちが生存競争に終始するSFは、もはや紋切り型だと私には思えますし、そこを超えようとする意欲がこの作品を書く上で必要でし