東邦大学教授 岸恵美子さん 東京都内で保健師として現場経験を重ね、人々の生活に寄り添って、その人らしい人生を送ってもらう支援のあり方を考え続けてきました。そうした中で、高齢者などで自分自身を放任、放置してしまう「セルフネグレクト」に陥る人たちの事例に多く関わり、研究も進めました。 社会的に問題になってきた「ごみ屋敷」は、セルフネグレクトのわかりやすい例です。年をとって体力を失ったり認知症になったりして、ごみの処理ができない。たくさんの動物を室内に放し飼いにする。「自分など生きていても仕方がない」と、医療や介護のサービスを受けることもしないばかりか、強く拒否する。 その結果、著しく不潔な状態で暮らし、周囲に迷惑をかけるとともに、自分の健康を損ねて、最悪の場合、孤立死に至ってしまう。 昨年11月、岐阜市の民家で70歳代の夫婦と43歳の長男が遺体で見つかりました。病死か衰弱死のようです。高齢者を