円安が止まらない。対ドル相場は20年ぶりの円安・ドル高水準となり、他の主要通貨に対しても円の「独り負け」の状況が続く。輸出立国の日本では長く、「円安は日本経済にプラスに働く」と言われてきたが、輸入品の高騰など生活にも影響が広がる中、その見方を疑問視する声も少なくない。円安で日本経済はどうなるのか。政府・日銀に円安の弊害を最小限にとどめる手段は残されているのか。その答えを探るため、日本を代表する経済学者で、一橋大名誉教授の野口悠紀雄氏に話を聞いた。【聞き手・杉山雄飛】 日本が直面する「負のスパイラル」 ――歴史的な円安水準が続いています。 ◆日本にとって危機的で、一刻を争う状況です。このまま放っておくと、とんでもない水準まで円安が加速する「負のスパイラル」に陥りかねません。 ――どういうことですか? ◆現在、円安が進んでいるのは、日本と米国の金融政策の違いによって日米の金利差が拡大しているこ