事件は漂流をはじめている。 巨人軍の契約金問題の焦点は、清武英利氏が関わっていたかどうかに移っている。本当に大事なことではなく「誰がたれ込んだか」に関心が移るのは、日本人というせせこましい人々の特質だろう。西山事件にまつわるドラマ「運命の人」が終わったばかりだが、所詮、日本人は何かを改革するよりは、波風を立てたくないという性格の民族なのだ。 昨年まで私は江尻良文というジャーナリストを知らなかったのだが『はたしてイチローは本当に「一流」なのか』という本を読んで、目を見開かされたような思いがした。 グランドで素晴らしいプレーが行われているのに、江尻記者は、それが一向に目に入らず、その選手たちが誰に挨拶した、とか、誰と食事に行ったとか、そんなことばかり気になるらしい。 江尻さんにかかれば、イチローは松井秀喜を出し抜くことばかり考えている輩であり、引退後のビジネスのために大物OBにすり寄ろうとして