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ブックマーク / maga9.jp (147)

  • 第41回:死ねというのか。包丁を手に、震えながら泣いた日(小林美穂子)

    2023年12月、群馬県桐生市在住のNさん(48歳)の呂律が回らなくなり、嘔吐が続いた。胃薬で紛らせようとしたが吐き気はおさまらず、異常を感じて救急車を呼んだ。脳梗塞と診断され、治療、リハビリを経て今年2月末に退院した。 入院中にソーシャルワーカーの働きかけで生活保護を利用することになった。同じ屋根の下で暮らす身体障害2級の実兄と、そしてNさんの退院と入れ替わるように家を出てグループホームに入所した異母兄、計3人で同一世帯と認定されての生活保護利用だった。 暴力的な父と2人の母と Nさんの家庭環境は複雑だった。 母親は内縁ので、子どもはNさんと兄の2人。Nさん家族が住む同じ家にはとその3人の子も暮らしており、計8人の大所帯だった。 父親は頻繁に暴力を振るった。その暴力は壮絶で、Nさんと兄は首を絞められたり、硬い灰皿で殴られたりして入院したこともある。兄が障害を負ったのは父親の暴力が元

    第41回:死ねというのか。包丁を手に、震えながら泣いた日(小林美穂子)
    kiku72
    kiku72 2024/09/25
    “生活保護制度も社協の日常生活自立支援事業も、人の生活を支えるために設計されている。それなのに、桐生市ではその基本の設計図すら崩されて”
  • 第690回:「弱者」「かわいそう」と言われると腹が立つ問題。の巻(雨宮処凛)

    「(前略)だまされたかわいそうな人間として扱われると腹が立つものです。私自身、取材がてら出演作品の販売停止の手続きを進めようとしましたが、支援団体から『かわいそうな人』との扱いをされ、しんどくなって途中でやめてしまった」 この言葉は、9月4日の朝日新聞夕刊「オトナの保健室」に掲載された峰なゆかさんへのインタビューのものである。「元女優が見たAV業界」のタイトル通り、峰さんは元AV女優で漫画家。作品には『AV女優ちゃん』などがあり、自伝的要素を含むという書では2000年代のAV業界を描いているという。AV出演強要問題についても取り上げられているらしい。 「強要を訴えた女性を、複数の女優が攻撃する心理について、『かわいそうな人間だと思われたくないから』と評しました」とインタビュアーに答えて彼女は言う。 「実際、複数の女優が『強要なんてない』と発言していました」 それに続くのが、冒頭の言葉であ

    第690回:「弱者」「かわいそう」と言われると腹が立つ問題。の巻(雨宮処凛)
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    kiku72 2024/09/11
  • 第40回:令和の米騒動 ~主食すら満足に供給できない国で~(小林美穂子)

    残りわずかになっていた我が家の米がついに尽きた。 災害用に買ってあったパックご飯が7分あるが、それが終われば自宅での米は諦めるしかない。 思えば7月頃からスーパーの米は減っていた。いつも買っていた最安値のブランドがなくなり、これまで買ったことがなかったブランドに手を出した。そのブランドもすぐに姿を消した。 我が家はツレと私+サヴァと梅()の、二人+二匹世帯である。 たちは用のフードがあり、米はべない。人間である私たちも、仕事の都合で週2~3日は外をするため、自宅での米消費は少ない。また、移動手段が自転車なので、買う米の単位は常に2キロと決めている。それが仇となった。まさか、店から米が消えるなんて、その時は思っていなかったのだ。 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意) 8月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。その直後、科学的な因果関係が曖昧なまま、「

    第40回:令和の米騒動 ~主食すら満足に供給できない国で~(小林美穂子)
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    kiku72 2024/09/05
    “備蓄米の放出には慎重な政府”
  • 第688回:日本が「貧しい」ことがバレバレになった岸田政権の3年間と、外国人にも働く先として選ばれなくなりつつある「元経済大国」がどう軟着陸するかという難題について。の巻(雨宮処凛)

    8月14日、岸田首相が次の自民党総裁選に出ないことを表明した。これによって現在、秋の総裁選に誰が出るのか、時期総裁は誰かに注目が集まっている。そんな中、若手のホープ的に注目を集めている小林鷹之氏の演説をテレビで見かけた。小林氏と…

    第688回:日本が「貧しい」ことがバレバレになった岸田政権の3年間と、外国人にも働く先として選ばれなくなりつつある「元経済大国」がどう軟着陸するかという難題について。の巻(雨宮処凛)
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    kiku72 2024/08/28
  • 第687回:『難民・移民のわたしたち これからの「共生」ガイド』で取材した、この国の外国人を取り巻くリアル。の巻(雨宮処凛)

    ホーム 雨宮処凛がゆく! 第687回:『難民・移民のわたしたち これからの「共生」ガイド』で取材した、この国の外国人を取り巻くリアル。の巻(雨宮処凛) 「自分はまわりにいる友だちとは全然違って、生きる権利を持っていないことを知りました」 この言葉は、日に住む16歳(当時)の女の子・みさきさん(仮名)のものである。ある集会で、彼女の音声が紹介された。 なぜ、「生きる権利」がないのか。それはみさきさんが「仮放免」だから。仮放免とは簡単に言うと、日に滞在するための合法的な資格(在留資格という)がない状態だ。 「じゃあ、いろいろ権利がなくても仕方ないじゃん」と思う人もいるだろう。が、彼女が生まれたのは日。以来、この国で暮らし教育を受けてきた。両親が外国人ということを除けば、周りの日人と変わらない中で育ってきたわけである。 しかし、彼女の日常には多くの制約がある。仮放免だと、働くことは禁じら

    第687回:『難民・移民のわたしたち これからの「共生」ガイド』で取材した、この国の外国人を取り巻くリアル。の巻(雨宮処凛)
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    kiku72 2024/08/21
  • 法律家×○○ “二足の草鞋”のすゝめ~弁護士兼小説家として~ 講師:五十嵐優貴氏

    1999年の司法制度改革以降、日における弁護士の数は飛躍的に増え、今や4万5千人を超えました。企業内弁護士、スクールロイヤーなど、その働き方や活躍の場も多様化し、「お堅い士業」というかつてのイメージも変わりつつあリます。そんな新時代の弁護士の一人、弁護士兼小説家として活躍していらっしゃる五十嵐優貴さんに、“二足の草鞋”に至るまでの経緯、それぞれの選択の岐路で何を考えていたのか、二足の草鞋の魅力やリスクなどについてお話しいただきました。[2024年6月28日@渋谷校] 私は現在弁護士と小説家という二つの肩書きをもつ「二足の草鞋」生活を送っています。 弁護士登録したのは2020年、一般民事のほか医療過誤訴訟、SNSなどの発信者情報開示請求、映画漫画小説などの法律監修を手がけています。 一方、「五十嵐律人」というペンネームで小説を書いています。弁護士登録したのと同じ2020年、『法廷遊戯

    法律家×○○ “二足の草鞋”のすゝめ~弁護士兼小説家として~ 講師:五十嵐優貴氏
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    kiku72 2024/08/21
  • 第685回:猛暑の中の相談会ツーデイズ〜物価高騰に上がり続ける悲鳴〜の巻(雨宮処凛)

    35度を超える猛暑となった週末、ふたつの相談会で相談員をした。 まず7月27日に参加したのは、「いのちと暮らしを守るなんでも電話相談会」。 コロナ禍に始まり、以来、隔月で開催されてきた電話相談会だ。全国の弁護士や司法書士、支援者らが無料で電話を受ける相談会にはコロナ禍の3年間で1万5000件以上の悲鳴のような声が寄せられてきた。 「コロナで失業し、べるものもない」「電気、ガスも止まって所持金50円」「既に住まいを失い携帯も止まり、公衆電話からかけている」というような切迫した状況の人からの電話を私も幾度も受けてきた。緊急の場合は、近くの支援者がその人のもとに駆けつけて給付金を支給する、生活保護申請に同行するなども行われてきた。コロナ禍、ひっそりと飢え、命の危機に晒される人たちが大勢いることを何度も痛感した。 昨年5月、新型コロナは5類に移行したわけだが、相談内容の深刻さは変わらないどころか

    第685回:猛暑の中の相談会ツーデイズ〜物価高騰に上がり続ける悲鳴〜の巻(雨宮処凛)
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    kiku72 2024/08/07
    “ 第2次安倍政権発足後すぐに生活保護費の引き下げが進められ、最大1割カット”
  • 國本依伸さんに聞いた:国に「私たちの人権を守らせる」ために。もっと憲法を読んで、知ろう

    初の女性弁護士のひとりをモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』が話題です。劇中では日国憲法の条文が何度も読み上げられ、改めて聞き入って涙したという声も。では、そもそも憲法とは私たちにとって、どんな意味を持つものなのでしょうか。大の『虎に翼』ファンで、SNSを通じて憲法についても発信を続けている弁護士の國依伸さんにお話を伺いました。 立法者に縛りをかけることが、憲法の重要な役割 ──『虎に翼』をきっかけに、改めて今「日国憲法」が注目されています。ドラマの中では主人公が戦後、新憲法と出会うことで生きる気力を取り戻す場面などが描かれましたが、現代を生きる私たちにとって、憲法とはどんな意味を持つものなのでしょうか。その機能や役割についてまずお考えをお聞かせください。 國 僕は、もっとも重要な憲法の機能は「立法者を縛る」ことだと思っています。 何のこと? と思った人にぜひ見てほし

    國本依伸さんに聞いた:国に「私たちの人権を守らせる」ために。もっと憲法を読んで、知ろう
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    kiku72 2024/07/24
  • 第682回:いろいろとタガが外れた都知事選〜「注目される」ためなら手段を選ばない人たち。の巻(雨宮処凛)

    ホーム 雨宮処凛がゆく! 第682回:いろいろとタガが外れた都知事選〜「注目される」ためなら手段を選ばない人たち。の巻(雨宮処凛) あと少しで都知事選の投票だ。 今回の都知事選ほど「タガが外れた」光景を私は見たことがない。 言わずもがな、悪ふざけを超えた候補者たちの存在だ。 怪文書と化した選挙公報。「放送事故」と言われたいのが丸わかりの、だけど少しも笑えない、センスのない政見放送。そして東京のあらゆる場所に貼られた稚拙なポスター。 しかし、皮肉なことに、いつも若者に見向きもされないポスター掲示板の前にはかなりの確率で若い世代の人だかりができている。悪趣味なポスターが話題となり、また地域によっても「バリエーション」が違うことから(NHK党のポスター)、関心を呼んでいるのだろう。しかし、これは「選挙への関心が高まっている」わけでもなんでもない。注目されるためなら手段を選ばない、いい年をした大人

    第682回:いろいろとタガが外れた都知事選〜「注目される」ためなら手段を選ばない人たち。の巻(雨宮処凛)
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    kiku72 2024/07/03
    “都知事選中、毎週土曜日に都庁下で開催されている食品配布の行列は、過去最多の807人”
  • 第38回:寅さんが生きられなくなった世の中で。白い浴衣姿の「その人」のこと(小林美穂子)

    「その人」の名前を私は知らない。遠い親戚だと両親から聞いていた。 私が小学生の頃、その人は2度、我が家にやってきた。 その人がやってくると、父は私と弟を寝室に引っ込めた。母は台所でつまみを作り続け、父がその人の相手をしていた。夜遅くまでちゃぶ台を挟んで飲みいすると、必ずその夜は泊っていった。別室で眠りに落ちた私の記憶に、陽気な笑い声と、闊達な喋り声が残像のようにかすかに残っている。 白い浴衣姿の痩せた男として記憶されたその人は、間もなくして我が家ではタブーとなった。墓地で首を吊ったのだ。 「誰にも言うな。そんな親戚がいると人様に知られたら、お前たちは結婚できなくなる」 父は硬く怒ったような顔をして、小学生だった私たちきょうだいの口を封じた。 存在を消される人たち もともと遠い親戚なので、その人を知る人たちと私が出会うこともなかったし、家でもタブーとされているので、親とも話をすることは憚ら

    第38回:寅さんが生きられなくなった世の中で。白い浴衣姿の「その人」のこと(小林美穂子)
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    kiku72 2024/07/03
  • 第85回:2024年春・被災地ツアー報告「閣僚で、帰還困難区域に入ったことがある人はいるのでしょうか」(渡辺一枝)

    ホーム 一枝通信 第85回:2024年春・被災地ツアー報告「閣僚で、帰還困難区域に入ったことがある人はいるのでしょうか」(渡辺一枝) 東日大震災から10年後の2021年から、福島被災地ツアーを始めた。今年4月5日~7日に6回目のツアーを行った。2泊3日で、1泊目は小高の双葉屋旅館、2泊目はいわきの古滝屋に宿泊。集合は福島駅、解散は郡山駅だ。ガイドと運転は、いつも今野寿美雄さんにお願いしている。今回の参加者は、東京から2名、埼玉から1名、長野から1名と私の5人が、予め決めていた東北新幹線に乗車して福島駅に着き、今野さんに迎えて貰った。 4月5日(1日目) 福島駅を出てから国道114号線で浪江に向かう。窓の外は、緑が濃い。ウワミズザクラが咲き、道路脇には濃紫の三寸菖蒲がずっと植え込まれていて、さながら菖蒲ロードのようだった。 川俣町に入り、「かわまた復興発電合同会社」の看板表示がある復興メガ

    第85回:2024年春・被災地ツアー報告「閣僚で、帰還困難区域に入ったことがある人はいるのでしょうか」(渡辺一枝)
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    kiku72 2024/07/03
  • 第315回:這ってでも投票所へ(鈴木耕)

    ぼくの投票「一択」の理由 次の日曜日(7月7日)が東京都知事選の投開票日である。もちろん、ぼくは投票に行く。最近は、期日前投票をする人がずいぶん増えたようだが、ぼくはいつも投票日当日に投票所へ赴く。まあ、それがぼくの流儀なのです。 今回、ぼくの選挙区では、都知事選と都議補選のダブル投票だ。むろん、投票先は決めている。いろんな情報を探しても、SNS上に流れる意見を見ていても、選挙公報を隅から隅まで読んでも(いやあ、今回は読むのがつらかった。ほとんど魑魅魍魎の世界なのだもの)、都知事選は蓮舫さんに入れるしかない。 とにかく、8年間の「小池悪政」に待ったをかけるには、やはり「蓮舫一択」しかないのではないか。 石丸伸二氏がかなりの追い上げを見せているというが、彼のこれまでの活動(とくに広島県安芸高田市長としての)をSNSなどで確認すると、まるで悪しきYouTuberの典型のような人物である。ひたす

    第315回:這ってでも投票所へ(鈴木耕)
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    kiku72 2024/07/03
  • 第681回:都知事選、地方出身者の都民の一人として思うこと。の巻(雨宮処凛)

    都知事選の投開票日まであと2週間を切った。 立候補しているのは、過去最多の56人。 そんな都知事選告示の少し前、東京都の合計特殊出生率は、この8年で1.24から0.99まで下がったことが報じられた。 また6月20日には、1975年生まれで子どものいない女性が日では28.3%とOECD加盟国では最多だったことが報じられた。各国の出生動向などを分析したOECDのリポートで明らかになったという。 ちなみに私はその28.3%に思い切り含まれる、「1975年生まれの子どものいない女性」だ。 都知事選を見ていると、多くの候補者が少子化や子育て支援を打ち出している。 小池都知事が掲げるのは「無痛分娩」。以前から「卵子の凍結」費用の助成にも取り組んでいると胸を張るが、「いや、そういうことじゃなくて、そもそもその手前の対策が必要では?」というのが実感だ。子育てに前向きになれるくらいの雇用の安定とか、収入が

    第681回:都知事選、地方出身者の都民の一人として思うこと。の巻(雨宮処凛)
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    kiku72 2024/06/26
    “そんな都営住宅、石原都政以来、20年以上新規建設はゼロだという。”
  • 第314回:都知事選、この人だけは勘弁してほしい(鈴木耕)

    驚きの動画 都知事選が盛り上がっている。何しろ56人もの候補者が乱立、しかも候補者ポスター掲示板のデタラメな使い方まで話題になっている。テレビ各局は面白おかしく騒ぎ立てるが、都知事選の質などは、どっかに置き忘れたままだ。 「小池先行、追う蓮舫」というのが、報道各社の現在(6月25日)の見立てである。そうなのか、とぼくはやや首をかしげる。 少し古い動画がSNS上に流れてきた。2018年6月15日の、小池百合子都知事の都庁での記者会見の様子である。それを視聴して、さすがにぼくはビックリした。こんなやり取りがあったのである。 記者:最近、一部報道で、雑誌のほうで、知事のご経歴の中で、カイロ大学を首席で卒業された、という経歴について疑義を呈する報道が出ているわけですが、この件についての知事のご見解をあらためて伺います。 小池都知事:カイロ大学は卒業証書もあり、また大学側も認めております。また、首

    第314回:都知事選、この人だけは勘弁してほしい(鈴木耕)
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    kiku72 2024/06/26
  • 第23回:「ダメ。ゼッタイ。」の無意味さ。いいかげんにハームリダクションに舵を切れ(小林美穂子)

    「こっわ…」 展示された300点以上のポスターを見始めた時に、思わず口から漏れた言葉だった。 薬物乱用防止イベントの会場に並べられたポスターには、地元の中学生が描いた頭蓋骨や、落下する女性のシルエット、顔半分が溶けたり、歪んだりしている人、首に縄をかける少女などの絵が所狭しと飾られていた。「壊れる」「地獄」「最期」「闇」「戻れない」など、おおよそ思いつく限りの脅迫的文言がそれぞれの絵に添えられていて心に刺さる。 それは、教えられた薬物の恐怖を子どもたちが正確に理解したという「成果」であるにもかかわらず、50過ぎた大の大人である私にすら直視が辛く、半分も見ないうちに会場を離れた。子どもにこんなホラーな絵を描かせるのは、果たして良い教育と言えるのだろうか? ある日突然、自分の子どもがこのような絵を描いたら、親は心配するはずだ。 「どうしたの? 何があったの?」と尋ねるはずだ。しかし、薬物乱用防

    第23回:「ダメ。ゼッタイ。」の無意味さ。いいかげんにハームリダクションに舵を切れ(小林美穂子)
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    kiku72 2024/06/25
    “ハームリダクションは世界各国で薬物使用による死亡者や感染者を減少させているだけでなく、尊厳が守られ、”
  • 第137回:「AIゆりこ」と「答弁拒否」に抱く素朴な疑問(想田和弘)

    ソーシャルメディアで「AIゆりこ」なるものの動画を目にしたとき、都知事選を前に、誰かが小池百合子都知事を揶揄するパロディ動画を作ったのだろうと、つい誤解した。 なぜならAIとは、「人間でなくてもできる仕事を、人間の代わりにするもの」である。AIゆりこに小池氏の政策の説明をさせることで、「小池氏の仕事AIでもできる」「小池氏はAIで代替可能である」というメッセージを広めているのだろうと、僕は思い込んだ。 ところがAIゆりこは、実際には小池百合子氏が、自らの政治活動、実質的には選挙運動のために作ったものだった。 6月13日に公開された最初のAIゆりこ動画の投稿には、「現職都知事として公務に邁進している小池ゆりこ人に代わって、AIゆりこがお伝えします」と書かれている。AIゆりこに政策を解説させることで、「小池氏の仕事AIでもできる」と思われかねないことを、小池選対も危惧したのだろう。だから

    第137回:「AIゆりこ」と「答弁拒否」に抱く素朴な疑問(想田和弘)
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    kiku72 2024/06/19
    “小池知事が自分への質問にも職員に答えさせることは、どうも都議会では常態化しているようだ。”
  • 今こそ憲法! 憲法が熱い(田端薫)

    NHKの朝ドラ『虎に翼』が人気だ。ここしばらく朝ドラを見る習慣がなかったのだが、「毎朝見て号泣しています」といったフェミニストたちの声に押されて、1ヶ月遅れで見始めた。 子ども時代をすっ飛ばして、いきなり女学生から始まる展開、ヒロインの妊娠・出産をサラリと描くなど、これまでとは異なるドラマ作りに、まず興味をひかれた。 戦争前夜なのに主人公の暮らしにその気配はあまりなく、いつの間にか戦争が始まって、夫は戦死してしまう。それも「勇ましく戦って戦友の腕の中でガクッ」というお決まりの戦死でなく、病死という設定に納得。戦死の多くが病死、餓死だった事実をしっかり踏まえたところに、脚家の意気を感じた。 お約束の玉音放送のシーンもなく、終戦。仕事も家族も無くして、心が折れそうになった寅子(主人公)は、闇市で焼き鳥を買い、ひとり河原でべようとする。焼き鳥のたれのついたくしゃくしゃの新聞紙を手のひらで押し

    今こそ憲法! 憲法が熱い(田端薫)
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    kiku72 2024/06/19
    “マガジン9は来年設立20年を迎えます。気弱になることもしばしばでしたが”
  • 第680回:コロナ禍、冷酷だった小池都政を振り返る。の巻(雨宮処凛)

    7月7日に投開票の東京都知事選に、蓮舫氏が立候補を表明した。 表明の5日後に蓮舫氏が訪れたのは、東京都庁の下で毎週土曜日に開催されている品配布だった。 この連載でもよく触れている品配布。コロナ前は近隣の野宿男性50〜60人が並んでいたのだが、コロナ禍で並ぶ人はどんどん増加。そこに物価高騰も重なり、今年の5月24日には過去最多の800人が並ぶなど、この国の困窮を象徴する場となっている。行列には子どもを連れた女性や若者など、コロナ前には決して見かけなかった層も目立つ。蓮舫氏が訪れた6月1日には、実に773人が並んだという。 Twitter(現X)に表示された、「もやい」の大西連氏に話を聞く蓮舫氏の姿を見て、久々にほっと一息つきたくなるような安堵感に包まれた。そんな気持ちになって、自分自身がこの数年間、いろんな感情を押し殺していたことに初めて気づいた。 どんな感情かと言えば、「どうせ小池都政

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    kiku72 2024/06/12
  • 第37回:「公金だという認識はなかった」桐生市の生活保護問題を検証する第三者委員会に行ってきた(小林美穂子)

    5月24日、早朝4時半に私は起きた。重い身体に鞭打って身支度を整え、朝ごはんをむりやりお腹に詰め込み、ベーグルの形に丸まって寝ているに顔を埋めてエネルギーチャージして家を出た。「第2回桐生市生活保護業務の適正化に関する第三者委員会」を取材するために一路、群馬県桐生市へ。 ザクッとこれまでの経緯 昨年11月、桐生市で生活保護を利用していた男性が、ハローワークで求職活動をした証明とひきかえに、毎日窓口で一日1000円だけ渡されていたことが報道各社から報じられた。 嫌がらせとしか思えない過度な就労指導、最低生活費を大きく下回る分割支給、そして月単位にしても保護費を半額程度しか支給されなかった男性2人はその後、提訴に踏み切った。 同時期、生活保護決定後も保護費の支給が遅れに遅れただけにとどまらず、預けた覚えのないハンコを勝手に受領簿に押された利用者がいたことが報道された。その後の記者会見で、保護

    第37回:「公金だという認識はなかった」桐生市の生活保護問題を検証する第三者委員会に行ってきた(小林美穂子)
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    kiku72 2024/06/05
  • 第678回:「つばさの党」から3人の逮捕者、に思うこと。の巻(雨宮処凛)

    闇バイトで逮捕された人──? それが「つばさの党」逮捕の映像を見た瞬間、思ったことだ。 私が「つばさの党」について知ったのはごく最近、東京15区補欠選挙の最中。ある候補者の応援に行っている人から「妨害がひどい」と聞いたのが最初だった。以来、ちらほらとネットなどで映像を見る機会があり、不気味さを感じていた。 そうして17日、「つばさの党」の3人が逮捕。 テレビなどで報道される姿を見ると、それは「迷惑系ユーチューバー」を彷彿とさせ、いったい何が目的なのか、どういう動機に基づいているのか、「つばさの党」に詳しくない私はまったくわからない。 ただ、逮捕の前日、たまたま新宿を歩いていたところ、「つばさの党」の街宣と出くわした。遠くて姿はよく見えなかったものの、街宣で語る若い男性の言葉には熱が入っていて、思わず引き込まれるものがあった。 給料が少なくて生きていくのに精一杯、お金がないから大切な人も幸せ

    第678回:「つばさの党」から3人の逮捕者、に思うこと。の巻(雨宮処凛)
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    kiku72 2024/05/29