中国をどう見るかはとても難しい。中国崩壊論もあれば、中国礼賛論も見かける最近の日本における中国論マーケットだが、S級とB級が混在する中国の複雑な事情を知ることで、中国理解はもっと容易になるのではないだろうか。 超一流と二流が同居する中国 本書のタイトル「中国S級B級論」には、ちょっとした仕掛けがある。このタイトルをみて、すぐにピンとくる人は多くないはずだ。だが、このタイトルの意味さえしっかり理解すれば、本書の意図するところは、ほとんど伝わる。 S級とB級は超一流と二流(あるいは三流)ということ。いまの中国にはS級の部分とB級の部分が同居しており、その間に巨大な落差がある。日本はS級でもなくB級でもなく、均質的なA級(いちおう一流としておく)社会なので、中国のその落差が体感的に理解しにくい。 だから、日本の対中観は、大まかにいえば、下から目線の「中国すごい論」と、上から目線の「中国ダメだ論」