政府見通しによれば、2020年の出生数は5年連続で過去最少を更新しての84万人台にまで落ち込む。社会が継続するための最低条件である出生数の漸減は、そのまま私たちの社会が緩やかだが確実に破滅へと向かっていることを示している。 しかし、この傾向は日本に限らずほとんどの先進国が共通して抱えている問題であり、環境問題とならんで後期資本主義国が直面する大きな矛盾のひとつである。 恐れ多くも私見を述べさせてもらえば、そしていきなり結論から述べてしまえば、この問題の根本は市場原理―――生産的か非生産的か―――が社会全体を覆い尽くしてしまったことにある。 つまり、生産的<価値を生み出す>か非生産的<価値を生まない>の軸で考えれば、生産的な人間とは何らかの形で金銭を発生させる人間のことであり、価値をうまない「子ども」とは非生産的であるばかりか過大な金銭・時間的負担を要求するものでしかない。20年近くを費やし