なぜ多摩川は鉄道橋梁付近ばかりが氾濫するのだろうか。東急二子玉川駅付近の氾濫や武蔵小杉駅付近の浸水が盛んに報道されるのを見ていて、こう感じたのは筆者だけではあるまい。 二子玉川駅は、多摩川の上にホームのある橋上駅である。氾濫地点の真上近くに東急田園都市線の多摩川橋梁が架かる。JR武蔵小杉駅も北東数百メートルの所に横須賀線・東海道新幹線の多摩川橋梁がある。 45年前にも堤防が決壊 思い起こせば1974年、小田急線多摩川橋梁(和泉多摩川―登戸間)の数百メートル下流地点で堤防が決壊し、民家19戸が流失した。ここも鉄道橋梁の近くだったわけだ。激流によって川に面した民家がバリバリと音を立てて崩れ流されていく姿がテレビカメラに捉えられ、当時大きな注目を集めた。 このシーンをモチーフとし、家庭の崩壊と家の流失をダブらせて物語る山田太一脚本、八千草薫主演のテレビドラマ『岸辺のアルバム』が放映され、その点で