たまに、何らかの審査委員であったり、有識者としての意見を求められる仕事を受けることがある。 そこで、期待される役割は、正論を述べることだ。 もちろん、表現はオブラートに包んだりして気を使うが、それでもロジカルに正しいとされることを言うのが仕事だ。 公正な審査や、襟を正すための意見が求められているのだから、そういうことだろう。 そんな時に気をつけるのが、自分のことは棚に上げて話すということだ。 誰かに意見を言うべき際に、果たして自分を省みるとどうなるのか。ブーメランを恐れて、甘いことを言ってしまうと、それでは求められた仕事を果たしたことにならない。 わかってる。意見を言いながら、自分だって、そんなに偉そうなことは言えたものでもない。だけど、そう心では思っていても、言葉にするのは正論でなければいけない。 存外、大変な仕事だ。 「 あなたたちの中で罪を犯したことのない者だけが、この女に石を投げな