第2長篇『サバイバー』が17年ぶりに復刊し、いま日本でも再び注目を集めている作家、チャック・パラニューク。傑作と名高い『ファイト・クラブ』の原作者でありながらも長らく邦訳の途絶えていた小説家の現在を、アメリカ文学研究者の青木耕平さんに解説していただきました。本記事は今月発売のSFマガジン4月号にも掲載予定、特別にウェブで先行公開! ――――――― 逸脱的ロマンチストの肖像 ──チャック・パラニュークの現在地青木耕平 ●フー・ザ・ファック・イズ・チャック・パラニューク?チャック・パラニュークとは何者か? 一部の批評家はいう、チャック・パラニュークはニヒリストだ。厭世的なメッセージを発し、暴力と破壊を誘発する危険な扇動者だ。かたや、熱狂的な読者はパラニュークを風刺家だと呼ぶ。彼の生きる時代を批評的に切り取る、知的な先導者だと称える。パラニュークさん、あなたはご自身をどう言い表しますか? そう尋