この夏は、原発の稼働停止や相次ぐ発電所トラブルで電力不足が心配されたが、大規模停電などの最悪の事態はどうにか回避した。猛暑だった昨年ほどに気温が上昇しなかったことに加え、政府が東京電力、東北電力の両社管内で出した電力使用制限令やそれに基づく節電効果があったことが電力の使用を抑えたためだ。ただ、原発の再稼働など供給力の上積みが難しい状況にまだ具体的な改善の兆しは見えない。この冬、来夏の電力不安はいまも消えていない。 東電の西沢俊夫社長と東北電の海輪誠社長は30日、それぞれ「引き続き節電へのご理解ご協力をお願いします」とのコメントを発表した。いずれも、これまでの節電による協力に対し「感謝」の言葉を重ねた。 東電管内では今夏、昨年並みの猛暑となれば最大電力需要は5999万キロワット、暑さが昨年より和らいでも5500万キロワットになるとみられていた。一方、東電の供給力は、ガスタービン増設などで対応