福岡市の東側、福岡市博多区に隣接する位置にある志免町(しめまち)。福岡空港にも近く、福岡都市圏中心エリアのベッドタウンとして発展してきた。その面積は県下で3番目に小さいようだが、人口密度は全国の町村で1位(2010年国勢調査)にもなっている。 ほぼ平坦な町の中央付近、市街地よりも10mあまり高い低丘陵地の上に立っているのが、かつて石炭の採掘に使われていた「竪坑櫓(たてこうやぐら)」だ。1943(昭和18)年5月10日に竣工した鉄筋コンクリート造の櫓は、高さが47.6mに達し、近代の鉄筋コンクリート造建築物の中でも国内有数の高さを誇っていたという。 しかし、1964(昭和39)年に閉山(竪坑は1966年に閉塞)されてから、放置される状態が長らく続いてきた。竪坑櫓の産業遺産、土木遺産、軍事遺産としての文化財的価値が見直され始めたのは1995年頃からのようだ。その後の調査などを経て2007年7月