東日本大震災で沿線が壊滅的被害を受けた岩手県のローカル線「三陸鉄道」が、震災から1カ月あまりたった今も奮闘を続けている。「今こそ地域の足となる」。停電、通信断絶、駅消滅と数々の苦難を経験しながら、社員93人の力を合わせて地震発生後5日という早さで運転を一部再開。全面復旧に向け「諦めるわけにはいかない」と力を込める。被災地に希望を運ぶ列車を動かしたのは、四半世紀あまり前の開業時から運行を支え続けた鉄道マンたちの熱い思いだった。(市岡豊大) ■「終わりなのか」 三陸鉄道は、国鉄民営化に伴って廃線予定だった路線を引き継ぎ、全国初の第三セクター方式の鉄道として昭和59年4月に開業。宮古-久慈間の北リアス線(71キロ)と、盛-釜石間の南リアス線(36キロ)に分かれている。 「こんなことは後にも先にもない。悪夢のような1カ月だった」。開業当時から三陸鉄道に携わる元県職員の望月正彦社長(59)が振り返る