『アスパラガスが知っていた』は 過去に誘拐事件に巻き込まれたカオリ、シンゴ、ゴリがその過去を紐解いていく 350ページにわたる青春ミステリーである。 リアリティとフィクションとの間(はざま)に 冒頭、カオリとゴリのデート中の会話や心情の描写に妙なリアリティを感じた方は少なく無いはず。 実は筆者・神部アキラが青春時代を過ごした三重県 楽奈坂(通称 たぬき坂)で、 彼が女の子とデートした際の思い出をそのまま作品に反映しているのである。 筆者はゴリに「自分自身を投影した」と語っている。 (デート中にゴリがお腹を壊してトイレに駆け込むも紙がなくて、家へのお土産のつもりで買っておいた油揚げで尻を拭くシーンも実際に筆者が経験したことらしい。 それだけにゴリの鬼気迫った表情や油揚げの感触が文章から伝わってくるほど繊細に表現されている) これは、神部アキラ自身の経験をフィクションと織り交ぜてリアリティをも