経営不振が続いていた国内半導体大手のルネサスエレクトロニクスを、官民で買収しようという計画が報じられた。そこで注目されるのが、経産省の動きだ。 ルネサスは、国内の自動車、電機などの大手メーカーにマイコンやシステムLSIなどを大量に供給している。同社は、NEC、日立、三菱3社の半導体部門が統合された会社だが、経営に失敗した部門を統合したという色彩が強い。結局深刻な経営難に陥り、米国の投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の傘下に入るという再建計画の交渉が大詰めを迎えていた。 しかし、三つのキーワードが経産官僚の「日の丸」本能を刺激してしまった。まず、最初に「半導体」。旧通産省時代の打倒IBMの日の丸コンピューター政策の後を継ぐ「日の丸半導体」擁護政策は、経産省の憲法だ。ルネサスが外国企業の傘下に入ることなど許されるはずがない。二つ目が、「米国投資ファンド」。経産官僚にとって