第4回 中国とEUはどこが違うのか?――不動産バブルの政治経済学 不動産価格の高騰と「蟻族」の不満 最近書店の店頭に並んだおびただしい数の中国関係の書籍の中の一つに、『蟻族』という本がある。昨年に中国で出版されてベストセラーになったこの本は、気鋭の社会学者による詳細な社会調査に基づいた、硬派のルポルタージュだ。「蟻族」とは、大卒者を中心とした高学歴でありながら、低賃金の非正規の仕事にしかつけず、さらには都市中心部の住居費が高騰しているため、郊外にある、一ヶ月の家賃が3000円から4000円の安いアパートに群がって住んでいる若者たちを指す言葉である。彼(女)らは、まるで蟻のように、「頭がよく、弱くて、集団で住む」ため、このように呼ばれるようになったといわれる。本の副題である、「高学歴ワーキングプアたちの群れ」という文句が、彼(女)らの高いプライドと置かれた社会的地位とのギャップをよく物語っ