医師の道を志すには、さまざまな理由があります。親が医師だったから、憧れの存在がいたから、小さいころからの夢だったから――。今回は、一度は医師になる夢を諦めて教職に就きながらも、38歳で医師になる一大決心をし、47歳で医師となった木村勤先生にお話を伺いました。 医師を目指した少年期、教師に目覚めた青年期 私の母は看護師でした。帰ってくると病院の話をしてくれていたので、医療の世界をなんとなく身近に感じていました。でも、医師になりたいと最初に思ったのは、小学校の高学年の時にアルベルト・シュヴァイツァーの伝記を読んだときです。 高校生になっても想いは変わらず、医大を受験しました。しかし、結果は不合格でした。経済的に国立でないとダメだったのですが、当時は新設の医学部がなく、競争率約30倍という厳しい挑戦だったのです。 翌年は、自宅で浪人をして勉強をしていました。ところが、受験しようとした大学の受験教
