上村さん宅の風呂場を片づける海老原さん=東京都北区 忙しすぎて、困っている世帯を支援しきれない−。そんな悲鳴が、地域包括支援センター(地域包括)の職員から聞こえてくる。特に、低所得層が多かったり、高齢化率が50%を超えた“限界団地”を担当する場合は、悩みも深刻だ。(清水麻子) 「お天気だから、干しましょうよ」。東京都北区の地域包括の主任ケアマネジャー、海老原澄子さんが、都営団地に住む上村梅子さん(85)=仮名=の風呂場にあった湿った下着類に手を伸ばすと、上村さんは「明日やるからそこに置いておいて」と大声をあげた。 上村さんは認知症で要介護1。今は独居だが、認知症が進み、対応が難しくなっている。近所の人の力添えだけでは暮らせなくなり、海老原さんが養護老人ホームへの入居を調整中だ。 しかし、入居には手間がかかる。まず、持ち物を減らさなければならないが、室内は物やごみがあふれ、足の踏み場がない。