――所得格差拡大に批判的ですが、経済成長には一定の格差は避けられない面もあります。「確かに成長の持続にはインセンティブが必要で格差も生まれる。過去200年の成長と富の歴史を見ると、資本の収益は一国の成長率を上回る。労働収入より資産からの収入が伸びる状況だ。数年なら許容できるが、数十年続くと格差の拡大が社会基盤を揺るがす」「日本に顕著だが(成長力の落ちた先進国では)若者の賃金の伸びが低い。第2
本日の日経新聞にて、話題のトマ・ピケティがインタビューに応じている。 グローバル化に透明性を パリ経済学校教授・ピケティ氏 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF19H05_Z11C14A2SHA000/ ぶっちゃけピケティ関係の議論はほとんど追っていないんだけれども、例の「r>g」の話はそんな不心得者にさえも今やすっかりおなじみとなった感がある。インタビューではそれ以外の話がなかなか新鮮だったので、備忘録として一部引用させていただく。 ――グローバル化と格差の関係をどう見ていますか。 「グローバル化そのものはいいことだ。経済が開放され、一段の成長をもたらした。格差拡大を放置する最大のリスクは、多くの人々がグローバル化が自身のためにならないと感じ、極端な国家主義(ナショナリズム)に向かってしまうことだ。欧州では極右勢力などが支持を伸ばしている。外国人労
イスラム国躍進の構造と力 『公研』2014年10月号 「対話」 池内恵 VS 山形浩生 山形:イスラーム国の人たちの言動や行動を見ると、ずいぶんと前近代的で昔に戻ったかのような印象を受けます。その一方で彼らの意識には、中東の民主化への動きとも言える「アラブの春」が大きく関係しているのだと思います。池内さんは今回のイスラーム国の登場と「アラブの春」の関係をどのように捉えていらっしゃいますか。 池内:「アラブの春」が一回りしたことで中東地域に生まれた環境は、イスラーム国にとって非常に都合の良いものになりました。その環境と言うのは、中央政府の揺らぎ、弱体化であり周辺領域の統治の弛緩です。そこに、元来イスラーム国が依拠するイスラーム過激派の戦略論がぴたりと合わさった。9・11テロに対して、アメリカは大規模な対テロ戦争を展開し、イスラーム過激派は軍事的にも情報的にも経済的にも追い詰められました。それ
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