引退した鉄道車両の保存について、クラウドファンディングで費用を集める方法が定着しつつある。しかし、必ずしも成功するわけではない。その車両に思い入れがある人が多ければ成功しやすい。また、その車両を後世に残す意義があれば、より多くの個人、そして法人も賛同するだろう。 現役時代の「ニセコエクスプレス」(2012年撮影) 北海道ニセコ町で、2017年に引退した「ニセコエクスプレス」を保存するプロジェクトが発足した。車体購入費、運搬費など総額860万円について、ニセコ町鉄道文化協会がクラウドファンディングを実施している。「ニセコエクスプレス」はどんな車両だったか。保存にどんな意味があるか。 ■ニセコ町が開発に協力した「山線仕様」 「ニセコエクスプレス」は国鉄・JRを通じて戦後初めて、北海道内の工場で新規製造された記念すべき車両である。新千歳空港(1988年7月開港)とニセコを結ぶ列車として企画し、1