◇中途失聴者向け多く、生まれつきのろう者困惑 東日本大震災発生から2日後の昨年3月13日、政府の記者会見に手話通訳がつくようになったが、実際には「分かりにくい」と困惑したろう者が少なくなかった。会見では熟練した手話通訳者が手を使って通訳をしたが、生まれつき耳が聞こえない人たちが通常使っている手話の手法とはそもそも異なる点が多いからだ。緊急時、耳の不自由な人たちに正確な情報を伝えるにはさまざまな課題がある。【榊真理子】 震災直後の混乱時、情報が得られず苦しむろう者たちは多く、ツイッターなどでは支援と改善を求める声が多数上がっていた。そんな状況を受け、同13日午後3時27分の枝野幸男官房長官(当時)の記者会見から、手話通訳が登場した。だが、多数のろう者たちの悩みは解消されなかった。 「生まれた時は耳が聞こえ、成長してから聴覚を失った人や手話通訳者は、会話で使ってきた日本語をベースとして手話を学